イエスキリストの十字架のわけ

エピソード2


これは、紀元33年に起った真実の話です。

イエスが十字架に架かって死なれたのは金曜日で、アリマタヤのヨセフという人が、その日のうちに彼を自分の墓に納めました。

その墓は、ヨセフが自分のために新しく作ったもので、大きな岩をくり貫いた立派な墓でした。
イエスの遺体は当時の風習のとおり、亜麻布に巻かれ、墓に安置されました。
そして、墓の入り口には、大きな石が転がされて封印され、人が出入りできないようにされました。

その上、ユダヤ人の指導者たちは、イエスが「自分は三日目によみがえる」と言っていたのを思い出して、まさかとは思いながらも三日間ローマ兵を墓の番人に付けることを願い出ました。

イエスが十字架にかかって死なれてから三日目の日曜日の朝早く、マリヤたちは彼が葬られた墓へ急ぎました。
この時代の風習に従って遺体に香油を塗るためでした。

彼女たちは、愛と喜び、安らぎ、希望で満たしてくれたイエスを失った悲しみと、これからどうなるのだろうという不安とで、絶望のどん底にいた事でしょう。

そんな思いを引きずりながら、彼女たちが墓の手前まで行くと、突然大きな地震が起こリました。
ちょうどイエスが十字架の上で息を引き取った時も地が揺れ、岩が崩れるような大きな地震があったので、その時の恐怖がよみがえりました。

揺れが治まり、彼女達が気を取り直して墓の前まで行くと、墓のすぐ横に、まばゆい光のような人の姿が見えました。

また、墓の見張りをしていたローマ兵たちが、まるで死んだように倒れています。
よく見ると、彼らは血の気を失い、顔が青ざめ、まるで痙攣したように、細かく震えていました。

数分前、ローマ兵たちは突然上のほうから、鋭い光がさすのを見ました。
何事かと上を見た瞬間、いなずまのような光とこれ以上の白さは無いほどの服をまとった天使が降りてきて、封印された墓の石をいとも簡単に脇に転がし、その上に座るのを見たのでした。
その光景に圧倒されて非常に恐れ、いっせいに倒れてしまったのです。


この天使は彼女たちにむかって言いました。
「恐れることはない。あなたがたが十字架にかかったイエスを捜していることを、わたしには分かっているが、もうここにおられない。かねて言われたとおりに、よみがえられたのである。さあ、イエスが納められていた場所をごらんなさい。
そして、急いで行って、弟子たちにこう伝えなさい、

イエスは死人の中からよみがえられた。見よ、あなたがたより先にガリラヤへ行かれる。そこでお会いできるであろう』あなたがたに、これだけ言っておく」。
そう言って、天使はまばゆい光と共に天に昇っていきました。

この出来事に、彼女たちは動揺しながら、おそるおそる墓の中に入ってみました。
確かにイエスが置かれたはずの場所にはイエスは見当たらず、亜麻布だけが置かれてありました。
彼女たちは感じました「確かに彼はよみがえられたんだ。」と

そこで彼女たちはこの出来事に恐れながらも、イエスがよみがえられたのを知って、大喜びで急いで墓を後にしました。
一刻でも早く弟子たちに知らせなければと思ったからです。

そのとき突然、イエスが現れました。
それは確かに、あの時十字架につけられて、息を引き取られたはずのイエスでした。
彼女たちはその場に居て、墓に納められるまでを見届けていたのですが、
今確かにイエスが生きて彼女たちの目の前に現れたのです。
実際に、イエスを目にした彼女たちは、心に驚きと喜びが同時に溢れ、戸惑いました。

それを見たイエスは「平安があるように」と言われました。
やがて彼女たちは落ち着き始め、驚きつつも近寄って、イエスの足を抱いて拝みました。
そのとき、イエスは言われました。
「恐れることはない。行って兄弟たちに、『ガリラヤに行け、そこでわたしと会えるであろう』と告げなさい」。
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その後、その言葉のとおり、イエスはガリラヤで弟子たちに会われ、そのほか多くの人に会われたのち、人々の見ている中で、天に昇っていかれました。


イエスは十字架にかかられ身を持って愛を示されたように、この復活によって身を持って死に打ち勝つ事を示されたのです。
人の体は時が来れば死んで朽ちますが、霊は永遠に生きます。
そして、かの日には復活したイエスのように新しい朽ちない体が与えられると聖書に書いてあるのです。


イエスは言われた。「わたしは、よみがえりです。いのちです。わたしを信じる者は、死んでも生きるのです。
                                      ヨハネの福音書  11:25